組織概要

フィリピン棚田イメージ

設立趣旨

 急峻な地形と台風、停滞前線などにより年間の平均降雨量が比較的に多い日本の治水対策は、古来より重要な事業として長い年月と膨大な費用を費やしダム、調節池、河川改修、下水道整備などを重点整備する排水手法が主流であった。しかし、全ての洪水を防ぐ事は現実に難しい。さらに、長らく続いてきた排水を基本にした治水対策にあって、近年は都市化の成長と共に対策率を上げ続ける手法に限界が生じてきており、また自然な水循環のあり方を乱してきた事で多くの環境的不利益が生じてきている。

 

 これからの治水は、洪水をある程度許容しながらも被害をできる限り抑えるために河川、下水道などの排水能力に頼るだけではなく、環境との両立を考え市民、企業、団体、行政が連帯し、流域全体での対策が求められている。

 

 近年、日本の各地流域において健全な水循環の回復に向け、流域全体でさまざまな取り組みがされている。貯留浸透手法による治水対策もその一つで、失われた自然環境の回復を期待できる手法として注目されている。

 

 この手法は、平成15年施行された特定都市河川浸水被害対策法に貯留浸透施設の整備が盛り込まれたこともあり、一部流域で公共事業、民間開発事業の雨水流出抑制施設として認められ設置されている。行政機関も宅地開発など民間事業者に貯留浸透施設の設置を呼びかけていることもあり、今後、各地の流域において急速に普及する可能性を秘めている。

 

 しかし、現状の貯留浸透技術は、土質工学の視点に立った透水係数や空隙率の議論にのみ着目されており、土壌の保水性や物理性に対する関心が低い。このため流域治水の効果が過小評価されており、ダムや河道に頼る治水技術が過大視されている。また、土壌の物理性を無視した浸透技術や工法の拡大に伴い、事業投資に見合った効果が出ていないことが、浸透や貯留技術の育成の阻害になっている現状が見られる。

 

 このような現状を改善するには、正しい地水学理論、技術に基づいた土壌調査、浸透設計、施工方法や浸透施設の能力試験方法、維持管理方法を確立し、その理論技術を周知、実践できる人材を養成し、技術向上及び普及を図り、自然との共生による持続可能な人類社会の構築と国民経済の発展に寄与することを目的とした活動をする必要があると痛感し、任意団体の環境地水技術研究会を設立する。

 

名称の由来

 組織名称を環境地水技術研究会と称したのは、『環境地水学』の著者、宮﨑毅先生より長年ご指導頂き土壌浸透技術の研究開発に携わり、大気温度の変化や雨水の土壌浸透により地中環境はどんな変化をし、その結果、水の循環はどう変動するのかといった内容は、環境地水学なくして解明できない。

 

また、環境地水学は土壌物理学、土の物質移動学を応用したところが多く、水文学と呼ばれてきた分野にも該当するが、既存の知識体系から一歩踏み出した新分野の学問であり、研究会の設立趣旨を達成させるためには不可欠と考え、組織名称とした。

 

活動概要

 環境地水技術研究会は設立趣旨を達成するため会員相互が問題を共有し、技術向上と有意義な経済活動を展開するため理事会、部会を設ける。また将来、Soil Water Professional 資格制度の創設を実現させるための活動を活発に展開する。

 

<理事会>理事長1名、副理事長1名、専務理事1名、常務理事1名、理事16名以内、監事2名。

<部会>研究部会、学術教育部会、調査部会、設計部会、施工技術部会、製造販売部会、総務・広報部会の以上7部会。

 

【部会の役割】

・研究部会 現地土壌特性調査に使用する自動測定システムの研究開発。土壌浸透施設設計に必要な計算ソフトの研究開発。貯留浸透装置の研究・開発、その他。

 

・学術教育部会 現地調査、土壌浸透設計、施工方法についてのセミナー、研修会に使用するカリキュラムの作成。技術者を養成するための教育実習(土壌調査・浸透設計、施工、管理)。セミナー、研修会、講演会の開催、講師派遣など。

 

・調査部会 セミナーを受講、試験に合格し認定書を交付された調査技能者を登録、会員による定期会議を開き、情報交換と技術の向上を図る。現地調査の実務を担うとともに登録者に広報部会が計画した地域セミナーの講師を依頼する。

 

・設計部会 セミナーを受講、試験に合格し認定書を交付された浸透設計技能者を登録、定期会議を開き、情報交換と技術の向上を図る。浸透設計の実務を担うともに登録者に広報部会が計画した地域セミナーの講師を依頼する。

 

・施工技術部会 セミナーを受講、試験に合格し認定書を交付された施工管理技能者を登録、定期会議を開き、情報交換と技術の向上を図る。施工の実務を担うともに登録者に広報部会が計画した地域セミナー及び現場講習会の講師を依頼する。

 

・製造販売部会 現地土壌特性調査に使用する自動測定装置、土壌浸透施設設計計算ソフトの製造、販売、及びシステム、ソフトの操作指導。研究部会の開発した技術の管理、及び開発された関連機器の製造・販売業務を担う。

 

・総務、広報部会 セミナー開催計画、テキスト、書籍の販売、機関紙の発行、広告募集、各部会への連絡調整、他、研究会の広報活動を担う。(総務は社員が担当する)

 
定款はこちらに掲載しています。

設立委員

理事長 宮澤 博(印旛沼流域水循環健全化会議 市街地・浸透系ワーキング委員)

学術委員長 宮﨑 毅(東京大学名誉教授)

世話人 斎藤博行、相川文明、井野悳生

 

理事会はこちらに掲載しています。

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